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おいしい魚を価値を正しい価値で売ることで漁業を支える-沖縄県国頭郡-

沖縄県、国頭村。
総面積の8割以上を森林が占めるほどの大自然に囲まれた村に位置する国頭漁協は沖縄県最北端の漁協であり、この地で水揚げされる魚は県内でも特に新鮮な魚が獲れるとして評判だ。

沖縄県で20店舗ほど展開するスーパー ユニオンのバイヤー喜納さんも、そんな国頭港から魚を仕入れる一人だ。
喜納さんに国頭漁港の魚についてお話を伺った。

国頭の魚を仕入れることになった経緯を教えてください。

もともと沖縄の魚は足が速い(鮮度が損なわれやすい)という事に加え、国頭は那覇から100km以上離れており、かなり北部に位置していますので、運送時の魚の鮮度保持がネックとなっていて、以前までは殆ど取引がありませんでした。

以前から国頭の様な沖縄北部からの魚を入れたいと思っていたんですか?

うちのスーパーは「良いものをより鮮度の良い状態で」ということを一番の目標として掲げています。
鮮度をより追求しようと、長崎行ったり、宮崎行ったり、五島列島行ったり色々していました。そんな時にSISというシャーベットアイス生成機を使って、鮮度の高い魚を国頭から届けることができると聞いて、それだったらまずは見に行ってみようと思ったのがスタートです。

実際に行って見てみると、国頭漁協さんはとても意欲的で、一尾ずつ船上で魚を締めていて品質が良いのは間違いないとわかりました。そして話を聞いていたシャーベットアイスで冷やし込みをしていただき、お店に届けてもらったのですが、その魚が抜群に鮮度が良かったので、取引をすることに決めました。

実際に国頭漁協さんとの取引が始まってみていかがですか?

他の漁港から届く同じ魚種の魚と比べても鮮度が全然違いますね。
沖縄での漁では締めないことが多いので、身が柔らかかったり焼けたりするのですが、国頭漁協では、魚体を傷つけないように丁寧に追い込みして、すぐに船上で締めて、シャーベットアイスに包んで送ってくださるので、魚体が綺麗でムチムチ感が違います。単純に新鮮なものを売り場に反映できるのはバイヤーとして、とても嬉しいです。

シャーベットアイスで鮮度が維持しやすくなったことでバイヤーさんとしては安心ですか?

そうですね、もちろんその日のうちに出せるのが一番良いのですが、状況によってどうしても1日~2日程のタイムラグは発生してしまいます。また、台風の時期などは漁に出られない日が続くのですが、そういう時もすぐに魚を出すことが難しくなってしまいます。そういった不漁や時間が空いてしまった時に、シャーベットアイスによって鮮度を保たれた魚だと、例えば台風が過ぎ去る前に売るといったこともできるようになります。市場に出してからの鮮度劣化はあるのですが、一度きっちりと冷やしてあるとそのベースが違いますね。

お客さんに鮮度を伝えるために取り組まれていることがあれば教えてください。

徐々にではありますがPOPを貼ったりすることで、「国頭産の魚」ということを認知してもらう取り組みを始めています。今後は販促としてシールを利用したり、なぜ鮮度を維持できているのかという説明をするために店頭用の映像を制作したりと準備しています。お客さんに定着するまでにまだ時間はかかると思いますが、モノはとても良いので、やり続けて認知を広げられるように試行錯誤を繰り返しています。

その他販売で工夫していることはありますか?

あそこまで手をかけて、そして丁寧に仕事をしてくださっている漁師の方にしっかりと還元していきたいという気持ちがあり、他の漁港の魚よりも3倍程度高い値段で販売しています。ある意味ストーリーですよね、現地に行って漁師さんがどうやって魚をとっているか、もっと知ってほしい。あんなに暴れる魚を一本一本愛情たっぷりに締めて水槽に入れてるのに、邪険に扱うわけにはいかないです。
丁寧で美味しい魚をちゃんとした値段でお客様に届けたいと思っています。
漁業を支えると言ったら大仰ですが、ちゃんとした価値をつけた売り方・伝え方をこれからも考えていきたいと思っています。

今後の展望があれば教えてください。

鮮魚を扱っているバイヤーとしては、この締めの技術とシャーベットアイスが国頭漁協だけではなく、いろいろな地で広まってくれると嬉しいです。
従来の氷と比べた時にどうしてもコストが嵩んでしまい漁師さんがなかなかシャーベットアイスを買えないという現状もあるので、国や県がバックアップして全国に広まってくれたらおいしい魚を食卓にもっとたくさん届けることができると思います。