RE/PORT PROJECT

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売り時をコントロールし、逆境を跳ね返すシャーベットアイス -沖縄県国頭郡-

沖縄県、国頭村。
総面積の8割以上を森林が占めるほどの大自然に囲まれた村に位置する国頭漁協は沖縄県最北端の漁協であり、この地で水揚げされる魚は県内でも特に新鮮な魚が獲れるとして評判だ。

そんな沖縄最北端の立地としては決して恵まれていない港で、沖縄の魚を世界に届けるという新たな試みにチャレンジしている方がいる。
国頭漁協の比嘉さんだ。

どのように取り組んでらっしゃるのか、実際にお話を伺った。

沖縄の魚を海外へ広める取り組みをされているそうですね。取り組みの経緯を教えてください。

国頭漁協は沖縄最北端に位置しています。県内、県外どこへ運ぶにしても、どうしても時間がかかってしまい、以前「国頭の魚はゆるいね」と言われたことがあるんです。そのとき、どうにか鮮度の高いいい魚を届けて、見返してやりたいと思ったのがそもそものスタートでした。
その時は海外なんてまだ考えていなかったですね。

まずは運送の課題を解決するために「時間の短縮」を考えました。獲れたものをどれだけ最短の時間で運ぶことができるかだけにフォーカスして、チャレンジをしていた形です。
移動をいかに速くするかを考えたり、輸送手段を工夫したり、そういった視点でばかり考えていたのですが、物理的に距離がある以上、解決策がなかなか見つからず、苦戦しました。
そんな折にシャーベットアイス生成機のSIS-HFを知りました。

運送時間の短縮ではなくて、その時間しっかりと冷やし込みができれば鮮度が保たれるという今まで考えていなかったアプローチです。もしかしたらそのシャーベットアイスを使えば、良いものを届けることができるのではないかと思い、試験運用を始めました。

実際にSISを導入されてからはどのような変化がありましたか?

ここがいちばんの変化ですが、シャーベットアイスにより均一に長時間冷やし込みがされるので、魚の持ちが格段に良くなりました。シャーベットアイスをつかうかどうかで、同じ魚種でも魚体の状態が全然違う。
これならもう、移動時間を気にしなくて良いと思えたのが一番大きかったです。

時間を気にせずに、余裕を持てるようになったことで選択肢が増えました。
以前までは朝獲れた魚を少しでも早く出荷しようと慌てていたのですが、シャーベットアイスに一晩漬けてしっかりと冷やした方が、芯まで冷えたまま運ばれるので、魚体の温度が上がらず、むしろより新鮮な状態を維持できることがわかりました。これも大きな収穫です。
あえて即日出さずに、魚価が下がりすぎないよう価格を調整しながら、今後の取引に繋がるよう、出荷量をコントロールするといった選択もできる様になりました。

朝獲りにこだわる必要がなくなったということですね。

昨年末12月29日に低地で水揚げしたスマガツオを1月4日に食べたのですが、油が身に浸透していて若くて綺麗で感動しました。カツオはすぐに状態が変わってしまうのですが血合い合の部分も味が全く落ちてなくて、シャーベットアイスの効果を改めて実感しました。

お客さんからの評価にも変化はありましたか?

まずは量販店からの評価が変わり、取引が増えました。国頭の魚は美味しいとバイヤーに評価いただいています。また県内で安定して鮮度の高いものを出荷できることが確認できたので、地域商社と協力して、海外への輸出にチャレンジしました。今ではシンガポールでミシュランの星を獲得しているシェフからも高評価を頂くことができています。

これから考えている新たな取り組みがあれば教えてください。

生産者の収入を上げるということを第一に加工品開発やブランド作りに力を入れて、「国頭漁協だったらこれ!」といった通年販売できる定番の商品を作っていきたいと思っています。
その上でふるさと納税のパッケージを作ったり、最終的にはネット販売の様な形まで持っていけると良いですね、SISを活用することでこれまで挑戦できなかった新事業にもどんどんチャレンジしていけたらと思います。